吉例・今年買ったCD2010

 どんなに放置が長くても、この企画だけはやるんだな。先生!Songは今年、26枚のCDを購入しました。よろしい、席に着きたまえ。って、えええっ!?CDを!?!?26枚も買ったの!?!?!?この音楽業界絶不況、AKB48と嵐以外は何ひとつ売れないといわれる2010年にぃぃぃ!?そうだよ。
 ただ新品での購入数はかつてなく少ないな。じゃあどこで買ってるかといえば、ハードオフブックオフの100円ジャンクです(キリッ  文句あるか。みんなCDを嫌いすぎだよ。あまりに「社会的不良債権」のイメージがつきすぎて、特に若い人なんかは家にCDが増えることを嫌がるみたいだね。結果、かなり内容のある作品でも100円ジャンクに流れてるんだこれが。いまや宝の山よ。これをアスクルで買った空きCDケースに入れ替えれば、じゅうぶん一財産だよ。配信なら1曲しか買えない値段で、アルバムまるごと1枚楽しめるんだから!それでは新品中古品取り混ぜて、例によって邦楽・洋楽別にアイウエオ順に全部晒す。
 大江千里「未成年」。ブックオフで250円。高校時代に熱狂的に好きだったんだ。特にこのアルバム。しかしこれも「AVEC」もそうだけど今聴くと音楽的な底の浅さが気になる。「1234」や「Olympic」のほうがおすすめだ。 小野リサ「ASIA」。新譜。アジア諸国の愛唱歌をボッサ・アレンジでカヴァーするという企画物。中国からも「何日君再来」と「夜来香」を選曲。悪くないんだけど…オーバーアレンジなんだよー小野リサのアルバムはいつも。ギター1本、せいぜいトリオでシンプルに聴きたいんだけどなー。
 KAN「野球選手が夢だった。」「ゆっくり風呂につかりたい」「東雲」。突如訪れたKANブームwしかし芸能生活23周年アニバーサリーイヤーを機に再評価の波が高まっているらしいよ。あのKANちゃんがー?なんでー?って感じだけど、でもやっぱりいいね!フツーにキレイなメロディ、楽しい曲を追い求めて何が悪い!って、堂々としている。サービス精神も旺盛だし。新譜も買おうかなーと思いつつ買いそびれちまったい。問題作「レジ子スターの刺激」聴きたかったんだけどな。
 「浪花のモーツァルト キダ・タローのほんまにすべて」。買った!これは嬉しい!十数年前にSLCから出たアンソロジー盤を買いそびれて本当に後悔していたキダ・タロー。あれより若干つくりは安っぽいけど、その後出た曲も網羅して圧巻の3枚組だ!「プロポーズ大作戦」「たいむ6」などTVテーマソングのモダニズムも、最近のCM曲の堂々たるマンネリズムも、どれも素晴らしい。 キリンジ「BUOYANCY」。新譜。いつもよりかなり薄味でした。まだiPodにも入れてないぐらい愛情も薄い。しかし「都市鉱山」という曲が、その後のレアアース危機を正確に言い当てた歌詞で大爆笑。すごい千里眼キリンジ
 クリスタル・ケイ「CK5」。ブックオフで激安購入。ベスト盤。しかし買ってガッカリ、レーベルゲートCD2(ソニー独自方式のCCCD)でiPodに落とせないの。だから激安だったのかー。しかもコンポで聴いても音悪いし。 クレイジーケンバンドMINT CONDITION」。新譜。昨年に続くリリースだがこれもイイネ!イイネ!「おっさんのエロエロアジア旅行」という一応のコンセプトがあって、香港の旅をうたった曲も入ってる。でもどの曲も爽やかで気持ちよく聴け、かつエネルギッシュ。しかしCKB今年の白眉はシングルB面、フジ競馬中継テーマ曲「馬力」なのだ!これはiTSで購入。
 「Southern All Stars」。サザン1990年のアルバム。このころまでは「さよならベイビー」「YOU」「女神達への情歌」など、安易なバラードで適当に感動させときゃいいや的なところがなく、それでいてしみじみ心にせまり、アイデアも豊富で本当に良いバンドだった。これが100円ジャンクですよ。どうですか奥さん? 神聖かまってちゃん「友だちを殺してまで。」「みんな死ね」。とかく話題の種、ニコ動御用達バンド、時代の申し子的な目でしかみられないかまってちゃんだが曲は意外に聴ける。驚くほどメロディアス。生まれた時から久石譲メロディの流れる世代が、ついにバンドを組む齢になり、ロックをこんなに素晴らしいものへと昇華させましたよ。タイトルはひどいけど年寄りも聴いとけ。
 スターダスト・レビュー「太陽のめぐみ」。去年の新譜。出たときに山野楽器で試聴して「……しょぼいな」と思って購入しなかったのだが、ことし久々にコンサートに行って、そして、買ってしまいました。ライヴで聴く前と後ではまったく印象が違う。実演を経て、うわっすべりな音源に初めて血が通う感じ。音源と実演、相互で印象を補完しあって売る、それってどうなんだ?という気もするけど、このご時世にはそれもアリかもね。 相対性理論シンクロニシティーン」。前作、前々作に続きこれも魅力的。ただ短くてすぐ終わっちゃうのが残念。メンバーそれぞれ別の活動にも勤しんでいるからねえ。ちなみに他の活動にはわたくし一切興味ございません。
 武川雅寛「とにかくここがパラダイス」。Q盤を新品購入。ムーンライダースのメンバーが28年前に出したインスト盤で、ベンチャーズのカヴァー中心にオリジナル曲も。なんでこんなものを?といえば、学生時代に愛聴していたラジオ番組「小堀勝啓のわ!Wide」の使用BGMがいっぱい入っているからなのだ!小堀さん還暦記念じゃわい。 東京事変「スポーツ」。誰も全くやる気のない2010年の音楽界において、一人やる気まんまんの林檎ちゃんはすごい。しかもそのやる気を正確に音楽に反映できるところがすごい。
 パーシャクラブ「Live Best BATANCHI-Banshiloo Side-」「-Adan Side-」。沖縄・八重山の民謡三線奏者&歌手、新良幸人のロックバンド。9月に念願の沖縄旅行を果たし、ホテルのレストランで流れていたDVDを見ていっぺんでとりこになってしまいました。買った沖縄土産はほぼこのアルバム2枚だけ。ライヴ盤とオリジナルアルバム、両方とも那覇の高良レコードで試聴したけど、音圧、音の良さ、厚さ、熱さでライヴ盤のほうが数段上。めちゃくちゃかっこいいロックだ!八重山言葉だから何を歌ってるかわかんないけど!高良レコードにはびっくりした。沖縄ではまだどうやら音楽が死んでいないらしい。ロック、ポップ、フォークから民謡まで独自の進化をとげているふう。まさにガラパゴス…ってこんな形容してもいいのかな?また行きたいな沖縄。そして試聴機聴き倒したい。
 バービーボーイズ「FREEBEE」、パール兄弟「TOYVOX」、フェビアン「Colors」。以上ハードオフの100円ジャンク。TOYVOXはリリース当時「なんて最先端な音楽なんだ」とため息つきつつ聴いていたが、約20年後の今聴くとちょっとねー。フェビアンが意外と拾い物だった。古賀森男…って誰も知りませんよね。 HARCO「PICNICS-BEST OF HARCO 1997-2006」。勢いで買ってしまった新品。ポップで、メロディアスで、悪くはないんだけど…その後の嵐のような忙しさの中で「こういう毒にも薬にもならんタイプの音楽はもうええわ」との結論に至ったのであった。
 ミドリカワ書房みんなのうたベスト」。緑川伸一のソロプロジェクト名だよミドリカワ書房。シンガーソングライターで、曲もそこそこポップだったり、時には浜田省吾のパロディを堂々とやったりいろいろなんだけど、問題は歌詞。「母さん」は死刑囚が母親にあてた手紙という設定で「この死刑囚ぜんぜん反省しとらんやないかっ」と批判されてメジャーレーベルからの発売が中止になった。ほかにも美容整形、認知症、不倫、離婚、いじめ、万引き、性同一性障害etc、世のダークサイドを次々と切り取って情景を淡々と歌う。ミドシンが特殊で凄いんじゃなくて、ほかの歌手が現実を歌わなさ過ぎるんだよーー!だから最近の歌手は「会いたいと言いすぎ」だの「翼広げすぎ」だのなんだのと揶揄されるんだよ。「ああー就職決まらないーー」って悩める学生に「君はひとりじゃない〜♪ いつもそばにいるよ〜♪」なんて歌いかけたって、「ああーーそうだーーー明日の面接も俺みたいな就活生が何百人もくるんだーーー」って、よけい落ち込むばっかりじゃん。
 洋楽は手短に。メイヤ「MEJA」。ブックオフ100円。北欧系だね。なつかしい。でもしょぼかった。リック・アストリー「リミックス・ミックス〜12インチコレクション」。これもなつかしい!ハードオフ100円ジャンク。これぐらい頭すっからかんで踊れるやつがいいよな。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ「カリフォルニケイション」。これも100円ジャンク。こらー誰だレッチリをゴミCDとして処分した奴は!以上。
 というわけで今年のアルバム・オブ・Song・オブ・ジ・イヤー(ややこしい)は神聖かまってちゃん「みんな死ね」に決定しました。実はかまってちゃんは同発でもう一枚「つまんね」というアルバムを出していますが、買いません。抗議の不買です。「つまんね」は某メジャーメーカーから、「みんな死ね」はインディーズから出ています。最初は両方ともメジャーから出るはずでしたが、そのメーカーの社長が10月に自殺しました。メンバーも同意の上、死んだ社長に配慮して「みんな死ね」はインディーズ発売になったそうです、が…それがロックなのかね。ふん。あのさ…人の命は地球より重いよ。小手先で隠そうとする、なんかいやーな力が働いているっぽくて気分悪いんだ。10年も前に音楽業界から足を洗った私だけど、社会人のなんたるかを教えてくれた大切な古巣なんでね、ここは。爆撃のあとみたいに、草木も生えない砂漠の荒野になっちゃった日本の音楽業界だけど、実際に「戦死者」を出してどうするのさー。あっそれからソング・オブ・Song・オブ・ジ・イヤー(さらにややこしい)はクレイジーケンバンド「馬力」に決定です。2年連続CKB、もっと別の人にあげたかったのですが、これしかない。あーあ。では、良いお年を!