ぺらんぺらん

 あけましておめでとうございます。本年も滅多に更新しないであろう当ブログですが、どうぞよろしくお願いします。とかいいつつ突然ひまになって毎日更新始めたりしてな。それは誰にも、わからない。
 さて正月は脳味噌ゆだるほど呑気に過ごしたけど、基本忙しすぎる今日このごろ。お洋服も年に2,3回しか買いに行けない。バーゲン時に、予算決めて店に乗り込んでドカーンとまとめ買い。それで終了、1年間着たきりスズメ。
 そんなドカ買いを新年2日、某吉祥寺パルコでまたやってきた。「グランバザール」初日。標的はただ1軒「ローリーズファーム」。理由はひとつ。最近Tポイントに加盟したからだ。相変わらずマイレージ集め・ポイント集めに血道をあげているSong。血道をあげすぎて昨年など半年で11700マイルも集めちまったい。服を買ってTポイントがたまるなんて夢のような時代だよな。ローリーズファームは少女〜20代女性向けのブランドだがそんなことは知ったこっちゃない。攻める。
 コート、セーター、ブラウス、ストール、花柄ブラウスワンピ、計5点でしめて1万6千円なり。安っ。バーゲン価格がこの日さらに10%OFFになっていたのだった。コートだけで2万円したっていいよな。実はローリーズファームを訪れるのは2、3年ぶり。数寄屋橋のモザイクに入っていた時に数点買って、それっきり。(モザイクは退店し、近隣の有楽町マルイに移った模様。)その時はそこそこいいお値段するブランドだったはず。あらまーいつのまにロペピクニック、H&Mなみの激安価格になってしまったの。
 そういえば初売りの福袋もここは¥5,000だったそう。大衆向けレディースブランドの福袋といえば1万円が相場だったでしょ。たまに5000円袋があっても小物を寄せ集めただけのゴミ袋だった。それが今年は、5千円が主流になっちゃったらしいのな。
 で安いのはいいんだけど…バーゲンの喧騒の中、商品をくまなく見回して、やがてカクーンとうなだれてしまったよ。


 なんじゃ?この、ぺらんぺらんでテカテカの生地は?


 ローリーズファームだけじゃないからな。周囲のテナントぜんぶそう。数年前に比べて生地の質、縫製の質があまりに落ちている。
 ちょっと前に銀座のH&M、さらに前に香港のH&Mを訪れて「なんじゃこのぺらんぺらんでテカテカの生地は?」と書いたおぼえがある。H&Mで買ったカーディガンは、ある日間違って洗濯機に放り込んで洗ってしまったら、もう見るも無残な、豪雨に打たれてずぶぬれの灰色の羊みたいな物体に変化してしまった。「ひでぇ…」思わずつぶやいた。使い捨てが基本なんだなあ。それってエコに真っ向から反していると思うんだけど、誰もそこにツッコまないんだなあ。
 でもあくまでこれは「ファストファッション」=ファストフードの服飾版を自ら喧伝するH&Mのみの現象だと思ってた。いまや、どこも、そうなのか?いかにも「石油製品ですヨロシク!」的なやっすい光沢を放つ毛糸のセーター。戦時中のゲートル(戦争博物館とかに展示してあるやつ)よりさらに粗くペラペラでお粗末な綿生地のパンツ。今季中に毛玉だらけ確定のウール小物。どの服も「今シーズンのみの命です( ´Д⊂ヽ」と、全身で訴えかけている…。
 くどいようだけどローリーズファームだけではなく、今やどこでもそうなんだ。ここよりけっこうなお値段をとる、たとえば六本木ヒルズのテナントなんかでも、「これは…」と首をかしげるような素材のものがあるよ。あちゃー。
 香港に買付出張に行くと、行きみち大小のお洋服屋が目に入るんだけど、見るたび思うのは「うわ…なんじゃこのぺらんぺらんでテカテカの生地は。質、低っ!」だった。おシャレさんを自任する、そこそこステータスのある女の子が「超合金製かっ」というとんでもない材質のペンダントを「すてきでしょ?」と自慢したり。ああ、日本が香港に追いついてしまった。いや、日本が香港のレベルまで落ちてしまった。しかも今や日本のほうが値段が安いからまいっちゃう。香港のインフレはすでに、日本のデフレを凌駕しているのである。
 そんなのはいやじゃー!!少なくともイイ歳をした女人の身につけるものではなーい!といっても、他に、ないんだよな…。
 百貨店で売ってるまともな素材の品は、マジで喪服の一歩手前というか、「てめえら着てもらう気あるのかよ!!」と蹴飛ばしたいぐらいやる気のないデザインの服ばかり。デザインも素材も食指の動くものといったら、舶来ブランドで5万円、10万円コースになっちゃうもん。ないしは代官山、原宿、表参道まで買いにおいで、みたいな。そんな場所にわざわざ行くひまはない!
 かろうじてSHIPSユナイテッドアローズ、FREE'S SHOPあたりが、そこそこの品質、そこそこの値段でオシャレなものを売ってくれている。しかし本当にこの3つぐらいだもん、今は。
 ヒルズにはユナイテッドアローズの、それも女性向け別ラインの店が入っているだけ。それ以外にマトモなところとなると…ひとつ大きな服屋があるけど、そこはまさに昼の会社のある経営陣の御用達で。わざわざ店の人が会社へ配達に来てくれるのだ。まさか、そこの服を着て会社に行くわけには行かないでしょ?しかもバカ高いし。ああ、なんでこんなに悩ましいのだ?これほどまでにモノが豊富にみえる日本で?
 俺は日夜汗水たらして身を粉にして働いている。そしてそれほど多くはないけれど報酬を得ている。この歳の、この能力と経験をもった女人が働いて正当に得た報酬に、見合う品質の服がなぜ見あたらないのだ?そして、忙しくて1年間着たきりスズメの生活にたえる耐久性をそなえた、要するに毛玉の出来ない服が、なぜどこにも売っていないのだ?H&Mのジャケットひどいじゃないか。2回着ただけですりきれて毛玉だらけだ!
 日本って本当に貧しくなっているのかもね。いや貧富の差の激しい、ヤな国になっているのかもね。もっと豊かな国にしようよ。一人一人が質の高い仕事してさ。