娯楽と対価

 たいへん申し訳ございませんでした放置が長くて。とにかく…忙しすぎるんです。昼の会社も香港漫画店も。うわぁぁぁぁぁぁぁん(号泣)忙しいようーーーうぇぇぇぇん(爆泣)テレビ見る暇も漫画読む暇もないよーーびえええええーーーーーん(激泣)
 泣く前にお伝えしなければならないことが。旅日記サイトとして残していた「香港之門 中国之門」ですが、このほどプロバイダがサービス終了しました。そしてサイトのデータは、他サービスへの引越しは行ないません。10月31日、プロバイダのサービス「iswebライト」の終了とともに、「香港之門 中国之門」は消滅しました。
 って半月もたって告知するのかよ遅っ!ひどいですね。すみません。これまで見ていただいた皆様ありがとうございました。
 や、いい潮時なんじゃないかなと思って。データが古くなってきてたし、新しいコンテンツも書けないし。香港には相変わらず行っているけれど書けないことが多すぎる。いわゆる「社外秘」ってやつですね。この情報こそが香港漫画店のおまんまの種、という。むりにUPしても伏字だらけじゃ何がなんだか、でしょう。戦時中の新聞じゃあるまいし。
 現地での行状は今も、行く度に手帳に詳細に書き残しています。これは私が死ぬときに誰かに遺贈するつもりだ。お店を継いでもらう誰かに。遺された人が公開するなら公開するだろうし公開しないなら永遠に闇の中。それはその人次第。だけど旅日記には仕入先の詳細のみならず、消えたサイト上で「プライバシー保護のため中略」としてあった部分、WEBで公開すると本当にエライことになってしまう部分があるのです。手帳の行方はちゃんと遺言書で指定してから死のうと思う。って要するに宮本輝「オレンジの壷」に影響されてるんだけど。クダラネ。
 このはてなダイアリーのブログはもちろん残りますヨ。そのうちまた暇になっていろいろ吐きたくなった時のためにさ。しかし今は吐く暇すらなさ過ぎる。ぐげぇ。
 もちろんこの2ヶ月間いろいろ思うことはあった。書きたいことも。手短にひとつだけ書いておこう。「水嶋ヒロは悪質だ」と。
 ああはっきり断じたい。「悪質」なんだよ水嶋ヒロは。
 少々旧聞で恐縮だが。「ポプラ社小説大賞」受賞が出来レースだとかどうとか、それは私にはわからない。もしかしたら本当に応募作千数百通を凌駕する傑作なのかもしれない。が、賞金2000万円の受領を辞退した。これがどうにもこうにも許しがたい蛮行だと思うんだよ私は。
 作家という仕事に就く。小説を書いてお金を稼ぐ。この営為自体を愚弄する蛮行だと思うんだ。
 ほかに千数百人が、小説でお金を稼ぐ、食べていくことを希望して応募した。リクルート活動と何ら変わりない。世の中には「文章を書くこと以外なーんにも出来ない」という人間が確かに存在する。ひとつのことしか出来ない人間って、いる。
 きょう、洗濯物を干しながらふと思ったんだけど、わたし家事が苦手でなんでもヘタクソ、きたならしくしか出来ない。ブサイクでモテないし、無愛想で人付き合いもすごく苦手。主婦ぜったい出来ないわー。それでも生きている。生きるために出来るいくつかの―たとえば異国の言葉を2つあやつれたり、そこでご飯の種に、かろうじて出来ているからだ。でもそれしか出来ないよ。
 同様に「文を書くことしか出来ない」人が、世の中に確かにいる。
 そういう人が賞金2000万円を生活の糧にしたくて、ポプラ社小説大賞に応募する。が、そいつらを蹴散らして頂点に立ったWinnerがだ。「ぼくは俳優で稼げるし嫁さんの印税もあるしお金には困っていないから、いりません。ただでいいです。」なんて!なにそれ。人を愚弄するにも程がある。
 同時に。人から「おもしろい」と判断されたものには必ず対価が払われなければならないのよ。いま「1Q84」が中国のサイトに無断UPされてタダ見できる状態になってる、って問題があるでしょう。娯楽には対価が払われなければならないの。それには人ひとりの意思なんて関係ないの!これからも「おもしろいもの」を作っていく、大勢の人のために。水嶋ヒロは2000万円を、「もらわなければいけない」のである。
 そんなにお金もらうのがいやなら、賞金なしの文学賞もあるのにねえ、そっちにすればよかったのに。やってることが矛盾してるのよ!