続・六本木昼餉

 ランチタイム、六本木界隈。諸外食チェーンの接客が最近ひどい。

 このあいだは某定食屋で足元に残飯入りの小鉢をぶちまけられた。あわてた給仕係が盆から落として割ったのだ。その前は某サイ○リアで、まだ使っていない食器を片付けられた。店内ガラガラなのに、なぜか案内された席の一角だけ客がギューギューに押し込められていたり。「狭いよ!別の席にしてよ」と言おうにも、ウエイトレスはピューっといなくなっていたり。このところ毎回そうだ。
 ただ最近は文句もかわいそうで言いづらい雰囲気がある。あまりに忙しすぎるのだ、バイトのウエイトレスさんが。いつ入っても同じ人が給仕に駆け回っている。広い店内でほぼ二人っきりで。自分がどんな給仕をしているか、どこに案内しているか、もう見境ついていないとみた。忙しくてすでに区類かけているのだ。
 誰か手伝ってやれよと思う。外食産業が人手不足ってほんとみたいだね。派遣村だかなんだか知らないけどウダウダしているあぶれ者は、なまけているひまがあるなら大至急サイ○リア六本木店へ行ってほしい。外食産業はブラックが多いからって尻込みする派遣切られ者がいるらしいけど甘ったれてるよ。いつも髪振り乱して注文取りに来る、あのパートのオバチャンを見習ってほしい。っていうか私が手伝いたいぐらいだ。昼休み、仕事のつかの間の休息に行っているのにねえ。やれやれだ。
 客が多すぎるのも一因だ。いつも大混雑。小鉢ぶちまけた定食屋も、サイ○リアも。界隈でここぐらいしかないのだ、女が手頃な値段でランチ食える店が。ほかに¥700以下で一食にありつける店といえばファストフードと牛丼屋、そして激安中華の「日高屋」「幸楽苑」ぐらい。いい大人が毎日マ○ドナ○ドのハンバーガーで昼食済ませられますか?あっというまに高脂血症で死ぬっつの。牛丼は吉野家2軒、松屋1軒あるけど、日高屋とともにいつも労務者に占拠されててとても女性の入れる雰囲気ではない。そして六本木界隈、これ以外のお店では、¥900以下では何ひとつ食べるものがない。
 文句があるなら弁当持ってけよって話だが、それができないのが前提条件として聞いてほしい。六本木のランチ高すぎなんだよ。ふざけるなっつの。「ランチビュッフェ」などと称して1000円ふんだくってディナー食材の残り物処分をやってみたり、どんぶり半分ぐらいの量の素ウドンに¥850の値を付けてみたり、なめきっている。六本木には私のように貧乏な労働者がたくさんいるのだ。六本木ヒルズ東京ミッドタウンという巨大な雇用の場をかかえて。みんな六本木で働きたくて働いているわけではない。「おしゃれな最先端の街・六本木でお仕事!」なんて一昔前のフロムAの惹句じゃねーっつの。それだけ雇用の場がありながら、賃金に見合った昼食提供の場がないことに怒りを感じるのだ。コンビニばっかり大混雑してるのに、誰も問題視しようとしないのか。テレビも派遣切りだのなんだのといった甘ったれののらくら者を追いかけるのはもういい加減にして、こうして真面目に働いているのに割を食っている人間のことを問題にしてほしい。
 だいたい何故こんなに頭にくるかといえば、この高い値段が、供される食べ物の質に対して支払われるのではなく、たっかい土地代・テナント代の肩代わりにすぎないからだ。六本木の土を食わされているようなもんだ。実際どこも高い割に土を食ってるんじゃないかというぐらいまずい。好きでこんなに地価の高いところで働いているのではない!そもそも六本木の地価が高いのは、いろんなややこしい連中による地上げの結果であって、だから六本木界隈ってなんか、他の繁華街と違ってクビをひねりたくなるような土地の使い方が目立つのよ。ものすごく人通りの多い路面の一等地が酒屋の倉庫に使われてたり。交差点の周辺にいまだにダサダサの化粧品店や洋品店がのさばってたり。
 この金融危機で暴落してくんないかな。六本木の地上げに加担している不動産屋なんか全部つぶれちゃえばいい。そして門前仲町早稲田鶴巻町とおんなじぐらいの地価水準になっちゃえばいいんだ。これらの街と六本木、どこに差がある?どこが違うっていうんだ?たいした街でもないのにさ。
 まあそれは非現実的だとしてもさ。諸外食チェーン様に切実にお願いしたい。ガストくら寿司かっぱ寿司てんやココイチ牛角食堂はなまるうどん、ヴィドフランスにカフェクロワッサンに大戸屋さんに宮本むなしさん、どうかお願い。六本木に出店して。採算が取れないなんて、そんなしみったれたこといわないでさ、プロモーションと割り切って。その低価格のランチで六本木のやる気ある労働者を救うことが、日本を不況から脱出させる力になるから、ね!!