ぺらんぺらん

 あけましておめでとうございます。本年も滅多に更新しないであろう当ブログですが、どうぞよろしくお願いします。とかいいつつ突然ひまになって毎日更新始めたりしてな。それは誰にも、わからない。
 さて正月は脳味噌ゆだるほど呑気に過ごしたけど、基本忙しすぎる今日このごろ。お洋服も年に2,3回しか買いに行けない。バーゲン時に、予算決めて店に乗り込んでドカーンとまとめ買い。それで終了、1年間着たきりスズメ。
 そんなドカ買いを新年2日、某吉祥寺パルコでまたやってきた。「グランバザール」初日。標的はただ1軒「ローリーズファーム」。理由はひとつ。最近Tポイントに加盟したからだ。相変わらずマイレージ集め・ポイント集めに血道をあげているSong。血道をあげすぎて昨年など半年で11700マイルも集めちまったい。服を買ってTポイントがたまるなんて夢のような時代だよな。ローリーズファームは少女〜20代女性向けのブランドだがそんなことは知ったこっちゃない。攻める。
 コート、セーター、ブラウス、ストール、花柄ブラウスワンピ、計5点でしめて1万6千円なり。安っ。バーゲン価格がこの日さらに10%OFFになっていたのだった。コートだけで2万円したっていいよな。実はローリーズファームを訪れるのは2、3年ぶり。数寄屋橋のモザイクに入っていた時に数点買って、それっきり。(モザイクは退店し、近隣の有楽町マルイに移った模様。)その時はそこそこいいお値段するブランドだったはず。あらまーいつのまにロペピクニック、H&Mなみの激安価格になってしまったの。
 そういえば初売りの福袋もここは¥5,000だったそう。大衆向けレディースブランドの福袋といえば1万円が相場だったでしょ。たまに5000円袋があっても小物を寄せ集めただけのゴミ袋だった。それが今年は、5千円が主流になっちゃったらしいのな。
 で安いのはいいんだけど…バーゲンの喧騒の中、商品をくまなく見回して、やがてカクーンとうなだれてしまったよ。


 なんじゃ?この、ぺらんぺらんでテカテカの生地は?


 ローリーズファームだけじゃないからな。周囲のテナントぜんぶそう。数年前に比べて生地の質、縫製の質があまりに落ちている。
 ちょっと前に銀座のH&M、さらに前に香港のH&Mを訪れて「なんじゃこのぺらんぺらんでテカテカの生地は?」と書いたおぼえがある。H&Mで買ったカーディガンは、ある日間違って洗濯機に放り込んで洗ってしまったら、もう見るも無残な、豪雨に打たれてずぶぬれの灰色の羊みたいな物体に変化してしまった。「ひでぇ…」思わずつぶやいた。使い捨てが基本なんだなあ。それってエコに真っ向から反していると思うんだけど、誰もそこにツッコまないんだなあ。
 でもあくまでこれは「ファストファッション」=ファストフードの服飾版を自ら喧伝するH&Mのみの現象だと思ってた。いまや、どこも、そうなのか?いかにも「石油製品ですヨロシク!」的なやっすい光沢を放つ毛糸のセーター。戦時中のゲートル(戦争博物館とかに展示してあるやつ)よりさらに粗くペラペラでお粗末な綿生地のパンツ。今季中に毛玉だらけ確定のウール小物。どの服も「今シーズンのみの命です( ´Д⊂ヽ」と、全身で訴えかけている…。
 くどいようだけどローリーズファームだけではなく、今やどこでもそうなんだ。ここよりけっこうなお値段をとる、たとえば六本木ヒルズのテナントなんかでも、「これは…」と首をかしげるような素材のものがあるよ。あちゃー。
 香港に買付出張に行くと、行きみち大小のお洋服屋が目に入るんだけど、見るたび思うのは「うわ…なんじゃこのぺらんぺらんでテカテカの生地は。質、低っ!」だった。おシャレさんを自任する、そこそこステータスのある女の子が「超合金製かっ」というとんでもない材質のペンダントを「すてきでしょ?」と自慢したり。ああ、日本が香港に追いついてしまった。いや、日本が香港のレベルまで落ちてしまった。しかも今や日本のほうが値段が安いからまいっちゃう。香港のインフレはすでに、日本のデフレを凌駕しているのである。
 そんなのはいやじゃー!!少なくともイイ歳をした女人の身につけるものではなーい!といっても、他に、ないんだよな…。
 百貨店で売ってるまともな素材の品は、マジで喪服の一歩手前というか、「てめえら着てもらう気あるのかよ!!」と蹴飛ばしたいぐらいやる気のないデザインの服ばかり。デザインも素材も食指の動くものといったら、舶来ブランドで5万円、10万円コースになっちゃうもん。ないしは代官山、原宿、表参道まで買いにおいで、みたいな。そんな場所にわざわざ行くひまはない!
 かろうじてSHIPSユナイテッドアローズ、FREE'S SHOPあたりが、そこそこの品質、そこそこの値段でオシャレなものを売ってくれている。しかし本当にこの3つぐらいだもん、今は。
 ヒルズにはユナイテッドアローズの、それも女性向け別ラインの店が入っているだけ。それ以外にマトモなところとなると…ひとつ大きな服屋があるけど、そこはまさに昼の会社のある経営陣の御用達で。わざわざ店の人が会社へ配達に来てくれるのだ。まさか、そこの服を着て会社に行くわけには行かないでしょ?しかもバカ高いし。ああ、なんでこんなに悩ましいのだ?これほどまでにモノが豊富にみえる日本で?
 俺は日夜汗水たらして身を粉にして働いている。そしてそれほど多くはないけれど報酬を得ている。この歳の、この能力と経験をもった女人が働いて正当に得た報酬に、見合う品質の服がなぜ見あたらないのだ?そして、忙しくて1年間着たきりスズメの生活にたえる耐久性をそなえた、要するに毛玉の出来ない服が、なぜどこにも売っていないのだ?H&Mのジャケットひどいじゃないか。2回着ただけですりきれて毛玉だらけだ!
 日本って本当に貧しくなっているのかもね。いや貧富の差の激しい、ヤな国になっているのかもね。もっと豊かな国にしようよ。一人一人が質の高い仕事してさ。
 


 

吉例・今年買ったCD2010

 どんなに放置が長くても、この企画だけはやるんだな。先生!Songは今年、26枚のCDを購入しました。よろしい、席に着きたまえ。って、えええっ!?CDを!?!?26枚も買ったの!?!?!?この音楽業界絶不況、AKB48と嵐以外は何ひとつ売れないといわれる2010年にぃぃぃ!?そうだよ。
 ただ新品での購入数はかつてなく少ないな。じゃあどこで買ってるかといえば、ハードオフブックオフの100円ジャンクです(キリッ  文句あるか。みんなCDを嫌いすぎだよ。あまりに「社会的不良債権」のイメージがつきすぎて、特に若い人なんかは家にCDが増えることを嫌がるみたいだね。結果、かなり内容のある作品でも100円ジャンクに流れてるんだこれが。いまや宝の山よ。これをアスクルで買った空きCDケースに入れ替えれば、じゅうぶん一財産だよ。配信なら1曲しか買えない値段で、アルバムまるごと1枚楽しめるんだから!それでは新品中古品取り混ぜて、例によって邦楽・洋楽別にアイウエオ順に全部晒す。
 大江千里「未成年」。ブックオフで250円。高校時代に熱狂的に好きだったんだ。特にこのアルバム。しかしこれも「AVEC」もそうだけど今聴くと音楽的な底の浅さが気になる。「1234」や「Olympic」のほうがおすすめだ。 小野リサ「ASIA」。新譜。アジア諸国の愛唱歌をボッサ・アレンジでカヴァーするという企画物。中国からも「何日君再来」と「夜来香」を選曲。悪くないんだけど…オーバーアレンジなんだよー小野リサのアルバムはいつも。ギター1本、せいぜいトリオでシンプルに聴きたいんだけどなー。
 KAN「野球選手が夢だった。」「ゆっくり風呂につかりたい」「東雲」。突如訪れたKANブームwしかし芸能生活23周年アニバーサリーイヤーを機に再評価の波が高まっているらしいよ。あのKANちゃんがー?なんでー?って感じだけど、でもやっぱりいいね!フツーにキレイなメロディ、楽しい曲を追い求めて何が悪い!って、堂々としている。サービス精神も旺盛だし。新譜も買おうかなーと思いつつ買いそびれちまったい。問題作「レジ子スターの刺激」聴きたかったんだけどな。
 「浪花のモーツァルト キダ・タローのほんまにすべて」。買った!これは嬉しい!十数年前にSLCから出たアンソロジー盤を買いそびれて本当に後悔していたキダ・タロー。あれより若干つくりは安っぽいけど、その後出た曲も網羅して圧巻の3枚組だ!「プロポーズ大作戦」「たいむ6」などTVテーマソングのモダニズムも、最近のCM曲の堂々たるマンネリズムも、どれも素晴らしい。 キリンジ「BUOYANCY」。新譜。いつもよりかなり薄味でした。まだiPodにも入れてないぐらい愛情も薄い。しかし「都市鉱山」という曲が、その後のレアアース危機を正確に言い当てた歌詞で大爆笑。すごい千里眼キリンジ
 クリスタル・ケイ「CK5」。ブックオフで激安購入。ベスト盤。しかし買ってガッカリ、レーベルゲートCD2(ソニー独自方式のCCCD)でiPodに落とせないの。だから激安だったのかー。しかもコンポで聴いても音悪いし。 クレイジーケンバンドMINT CONDITION」。新譜。昨年に続くリリースだがこれもイイネ!イイネ!「おっさんのエロエロアジア旅行」という一応のコンセプトがあって、香港の旅をうたった曲も入ってる。でもどの曲も爽やかで気持ちよく聴け、かつエネルギッシュ。しかしCKB今年の白眉はシングルB面、フジ競馬中継テーマ曲「馬力」なのだ!これはiTSで購入。
 「Southern All Stars」。サザン1990年のアルバム。このころまでは「さよならベイビー」「YOU」「女神達への情歌」など、安易なバラードで適当に感動させときゃいいや的なところがなく、それでいてしみじみ心にせまり、アイデアも豊富で本当に良いバンドだった。これが100円ジャンクですよ。どうですか奥さん? 神聖かまってちゃん「友だちを殺してまで。」「みんな死ね」。とかく話題の種、ニコ動御用達バンド、時代の申し子的な目でしかみられないかまってちゃんだが曲は意外に聴ける。驚くほどメロディアス。生まれた時から久石譲メロディの流れる世代が、ついにバンドを組む齢になり、ロックをこんなに素晴らしいものへと昇華させましたよ。タイトルはひどいけど年寄りも聴いとけ。
 スターダスト・レビュー「太陽のめぐみ」。去年の新譜。出たときに山野楽器で試聴して「……しょぼいな」と思って購入しなかったのだが、ことし久々にコンサートに行って、そして、買ってしまいました。ライヴで聴く前と後ではまったく印象が違う。実演を経て、うわっすべりな音源に初めて血が通う感じ。音源と実演、相互で印象を補完しあって売る、それってどうなんだ?という気もするけど、このご時世にはそれもアリかもね。 相対性理論シンクロニシティーン」。前作、前々作に続きこれも魅力的。ただ短くてすぐ終わっちゃうのが残念。メンバーそれぞれ別の活動にも勤しんでいるからねえ。ちなみに他の活動にはわたくし一切興味ございません。
 武川雅寛「とにかくここがパラダイス」。Q盤を新品購入。ムーンライダースのメンバーが28年前に出したインスト盤で、ベンチャーズのカヴァー中心にオリジナル曲も。なんでこんなものを?といえば、学生時代に愛聴していたラジオ番組「小堀勝啓のわ!Wide」の使用BGMがいっぱい入っているからなのだ!小堀さん還暦記念じゃわい。 東京事変「スポーツ」。誰も全くやる気のない2010年の音楽界において、一人やる気まんまんの林檎ちゃんはすごい。しかもそのやる気を正確に音楽に反映できるところがすごい。
 パーシャクラブ「Live Best BATANCHI-Banshiloo Side-」「-Adan Side-」。沖縄・八重山の民謡三線奏者&歌手、新良幸人のロックバンド。9月に念願の沖縄旅行を果たし、ホテルのレストランで流れていたDVDを見ていっぺんでとりこになってしまいました。買った沖縄土産はほぼこのアルバム2枚だけ。ライヴ盤とオリジナルアルバム、両方とも那覇の高良レコードで試聴したけど、音圧、音の良さ、厚さ、熱さでライヴ盤のほうが数段上。めちゃくちゃかっこいいロックだ!八重山言葉だから何を歌ってるかわかんないけど!高良レコードにはびっくりした。沖縄ではまだどうやら音楽が死んでいないらしい。ロック、ポップ、フォークから民謡まで独自の進化をとげているふう。まさにガラパゴス…ってこんな形容してもいいのかな?また行きたいな沖縄。そして試聴機聴き倒したい。
 バービーボーイズ「FREEBEE」、パール兄弟「TOYVOX」、フェビアン「Colors」。以上ハードオフの100円ジャンク。TOYVOXはリリース当時「なんて最先端な音楽なんだ」とため息つきつつ聴いていたが、約20年後の今聴くとちょっとねー。フェビアンが意外と拾い物だった。古賀森男…って誰も知りませんよね。 HARCO「PICNICS-BEST OF HARCO 1997-2006」。勢いで買ってしまった新品。ポップで、メロディアスで、悪くはないんだけど…その後の嵐のような忙しさの中で「こういう毒にも薬にもならんタイプの音楽はもうええわ」との結論に至ったのであった。
 ミドリカワ書房みんなのうたベスト」。緑川伸一のソロプロジェクト名だよミドリカワ書房。シンガーソングライターで、曲もそこそこポップだったり、時には浜田省吾のパロディを堂々とやったりいろいろなんだけど、問題は歌詞。「母さん」は死刑囚が母親にあてた手紙という設定で「この死刑囚ぜんぜん反省しとらんやないかっ」と批判されてメジャーレーベルからの発売が中止になった。ほかにも美容整形、認知症、不倫、離婚、いじめ、万引き、性同一性障害etc、世のダークサイドを次々と切り取って情景を淡々と歌う。ミドシンが特殊で凄いんじゃなくて、ほかの歌手が現実を歌わなさ過ぎるんだよーー!だから最近の歌手は「会いたいと言いすぎ」だの「翼広げすぎ」だのなんだのと揶揄されるんだよ。「ああー就職決まらないーー」って悩める学生に「君はひとりじゃない〜♪ いつもそばにいるよ〜♪」なんて歌いかけたって、「ああーーそうだーーー明日の面接も俺みたいな就活生が何百人もくるんだーーー」って、よけい落ち込むばっかりじゃん。
 洋楽は手短に。メイヤ「MEJA」。ブックオフ100円。北欧系だね。なつかしい。でもしょぼかった。リック・アストリー「リミックス・ミックス〜12インチコレクション」。これもなつかしい!ハードオフ100円ジャンク。これぐらい頭すっからかんで踊れるやつがいいよな。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ「カリフォルニケイション」。これも100円ジャンク。こらー誰だレッチリをゴミCDとして処分した奴は!以上。
 というわけで今年のアルバム・オブ・Song・オブ・ジ・イヤー(ややこしい)は神聖かまってちゃん「みんな死ね」に決定しました。実はかまってちゃんは同発でもう一枚「つまんね」というアルバムを出していますが、買いません。抗議の不買です。「つまんね」は某メジャーメーカーから、「みんな死ね」はインディーズから出ています。最初は両方ともメジャーから出るはずでしたが、そのメーカーの社長が10月に自殺しました。メンバーも同意の上、死んだ社長に配慮して「みんな死ね」はインディーズ発売になったそうです、が…それがロックなのかね。ふん。あのさ…人の命は地球より重いよ。小手先で隠そうとする、なんかいやーな力が働いているっぽくて気分悪いんだ。10年も前に音楽業界から足を洗った私だけど、社会人のなんたるかを教えてくれた大切な古巣なんでね、ここは。爆撃のあとみたいに、草木も生えない砂漠の荒野になっちゃった日本の音楽業界だけど、実際に「戦死者」を出してどうするのさー。あっそれからソング・オブ・Song・オブ・ジ・イヤー(さらにややこしい)はクレイジーケンバンド「馬力」に決定です。2年連続CKB、もっと別の人にあげたかったのですが、これしかない。あーあ。では、良いお年を!

ないんだから

 大学生の就職率6割きってるんだってね。あらあら。ひどいねえ。こないだもテレビ見てたらやってたよ。入社説明会がチケットぴあなみの秒速で満員になるとか。合同説明会が通勤電車なみの押すな押すなの混雑だとか。就職活動、いや今は「就活」っていうんだっけ?そんなIME辞書の初期設定にもない略語使われるとキモチ悪くてたまらないのだが、まあともかく就活か。今は履歴書じゃなくて「エントリーシート」という、絵やら字やら写真やらをチマチマ貼り付けたり色を塗りたくったり、そういうものを作んなきゃならないそうだ。そんなもん見て学生を選んでいられるなんて大企業様はヒマでいいよな。しかし学生側は70社も80社も、受けるたびにいちいち作らなきゃならないそうで、そりゃたいへんだよな。っていうか素朴な疑問がわくんだけど。70社や80社受けても通らないと学生達は嘆くが、70社受けてダメだった時点でどうして気づかないのだろう?「あ、これはもう、働き口はないな」と。
 結局それって「ない」ってことじゃん。日本国内に大学卒の働き口は今、ないんだよ。ぜんぜん足りてないってこと。そんなの街を見てりゃわかるじゃん。地下鉄の広告ボードも中吊りも空きだらけ。たまにあってもAC公共広告機構と借金整理の法律事務所。ヴェルファーレの跡地のビルは建って一年以上たつけどいまだにテナントがセブンイレブンだけ。いや六本木自体が空き地と幽霊ビルだらけ。日本の産業に今、大卒の働き手を吸収する力が「ない」んだからしょーがない。
 や、でも、少しずつ景気は上向いているし、求人増やそうとしてるところもボチボチあるよね。ところが必要な人材を「もう日本人からは採りません」って話なんでしょ?外国人枠を増やして、中国人やインド人の「優秀な」学生を採りましょうって。あーそれじゃますます勝ち目ないじゃん。
 中国のエリート学生は日本の100倍エリートである。まず単純に日本と中国では人口が10倍違う。エリート競争が10倍激しいのである。しかも中国はいまだに貧富の差が非常に激しく、さらに貧しく能力のない者に限って「誰かにぶら下がってラクして生きたい」と考えている。大多数がそうだ。貧しくてもみんなが勤勉に働く日本とは違う。いきおい、ひとりエリートが出ればそいつに4,50人の親族がブラーンとぶら下がる。マジで。「巨人の星」の左門豊作には5人の幼い弟妹がぶら下がっていたが、早稲田あたりを歩いている中国人留学生にはざっとその10倍の人間がぶら下がっているのだ。背負ってるものが違うのである。だから成功すれば故郷に工場建てて社長になって大もうけ、学校でも病院でも寄付して地元の名士になって…と、デカい夢が限りなく広がるわけだが、失敗したらマジで帰るところがない。就職ダメでも帰るおうちがあって、パパやママがいてごはんを食べさせてくれる日本の学生とは、切羽詰まりかたが違うのである。どんなに意地汚くだって食らいつくさ。生きるために。勝つために。「就活がうまくいかなくて病む」だの「心が折れる」だの甘ったれたことを言うのは脱落を意味する。中国の精神病患者の扱い知ってるか?精神病棟の写真集あるからみてごらん。獣蓄以下なのである。土蔵みたいな場所に鎖でつながれて。障害者ケアなんてものもないぞ。あの国には。病んだら即、人間扱い終了。そんな中国やその他国々の学生と、就職戦線で戦わなければならない学生さん…つくづく大変だね。恨むならグローバル化を恨みたまえ。我々の世代が理想として突っ走ってきたグローバル化。いやなら反グローバル化デモでもなんでも、APEC会場でやりゃよかったのである。諸外国でやってんじゃん。サミット会場に石投げて。ああいうことだよ学生さん。
 でも大企業だってデカい図体を維持するためには必死なわけで、そうなると日本の凡々大学生にはますます就職口は「ない」わな。ないものを「どっかにあるんじゃないか」と探すなんて、25mプールでメダカすくいをするようなもんじゃないか。時間の無駄だよ。そのあいだに本来の大学の勉強をしたほうが、よっぽどいいじゃないか!
 そもそもどうしてそんなに就職したいのだ?企業にやとわれたいのだ?正社員になりたいのだ?
 私は企業の正社員じゃないぞ。昼は派遣社員で夜と土日は個人事業主だ。ごくたまにフリーの翻訳屋だ。それでも生きとる。学生さんはこんな私を人間のカスだといって嗤うかね?それでも母親を扶養家族にしておる!
 そりゃ私も大学出てから8年間は正社員だった。就職した。そのときは働き口が「あった」から。いまは「ない」のが現実だろう?だったら現実に即してやりゃいいのである。「ない」なら「ない」なりにやるんだよ!
 働き口が、

  1. どうせないんだから、よそへ行って探す。
  2. どうせないんだから、自分で作る。
  3. どうせないんだから、働かない。

 1はそれこそ中国行って働けば?って話だ。好景気に沸く中国へ。ぼんぼんビルが建つのだから建設現場の仕事ぐらいあるだろうし、お金持ちが増えているのだから女の子なら住み込みのお手伝いさんの口ぐらいあるでしょ。日本人は憧れの国の憧れの人種だぞ。日本人の女中を雇うのは、我々の感覚でいえばイギリス人執事やフランス人メイドを雇うようなものだろう。成金中国人のプライドも大満足でしょ。はぁ?言葉?そんなもんなんとかなるだろ。最高学府の大学まで行ったかしこい子なら。高校までで英語もやったんだしもう一つ中国語ぐらいできるでしょ?食べていくために。人間「これ出来ないなら死んでくれ」といわれたら、できるの。なんでも。私が小学生のころ「泳げない」「自転車に乗れない」「給食が全部食べられない」「書写の課題を右手で書き上げられない」、以上全部許されなかった。泳げなければ教師に「げべごぼがべごぼっ」って水に顔を押し付けられ、給食は食べられなければ手にオカズをじかに乗せて食べるまで監視され、利き手じゃないのに右手でむりやり「かきかた」のテキストを埋めさせられてあげく通信簿に「2」をつけられた。「できないのも個性だから」なんて甘っちょろいことを言ってくれる大人はひとりもいなかった。出来なきゃ死ぬなら、できるでしょ。
 香港・セントラルに日曜日に行ってごらん。フィリピン人メイドが公園を埋めている。彼女達はみんな、国を超えた出稼ぎだ。フィリピンは自国に産業がないから、みな海外へ出稼ぎに行くのである。彼女らと日本の大学生とどこが違う?日本もいまや、産業は国内に「ない」んだよ!
 2はまさに「ないから作った」私から言わせてもらうよ。あー、作れ、作れ。会社でもお店でも。それで自分で儲ければいいんだよ。なんで人に雇われることしか考えないのかなあ。えっ初期費用?そんなもんいらん!私の香港漫画店は10万ちょっとしかかかってないよ、たしか。「ベンチャーには厳しい時代」とかなんとかいうけど、ウチの店は11月にして対前年比売上150%突破したし。(まあ去年が悪すぎただけ、という説もあるが・・・)やりかたがわかんなければ、いまベンチャーの主やってるやつに無給で弟子入りすればいいんだ。腰巾着として付いてまわればごはんだけは食べられるし。うちだって無給でよければ弟子入りさせてもいいよ?もちろん適性試験はやるけどね。自腹で香港に来てもらって、空港で「いまから3日後に『古龍豪侠傳』『拳皇2003』『雪山飛狐』の第1巻を持って、ここに再集合!」と号令をかけるの。どこで手に入れるか?そんなのは自分で考えていただくということで。1冊でも手に入らなければ弟子入り不合格さ。
 ま、だから、いちばん現実的な線は3じゃないの?就職なんかしなくていいじゃん。誰かにぶらさがればいい。恥じることはない。それがどっちかといえば、グローバル・スタンダードじゃね?
 

音楽は理科実験ではない

 というわけで新宿ロフト放火事件に戦慄しているSongです。最近はゴブサタだけどしょっちゅう行ったライヴハウスだしねえ。ボヤですんで本当に良かったね。あそこで火事になったら絶対逃げられません。狭い地下フロア、細い通路しかないのにギュウ詰めで。放火した女44歳無職は「ロッカーに荷物を入れてたら出されて腹が立った」だと。火事になったら自分も死亡確定なのにな。
 そうでなくても最近、音楽関連で気の晴れない事件が多いや。あたしゃまったく納得がいかないよ、ヒダカトオルmonobright加入。解散や脱退や活動休止といった凶報ではないものの「モヤッとする」という感想が双方の少なからぬファンから洩れている。「モヤッとする」というのは今日び流行りの言い回しなのかい。そんな霧か煙に巻かれたような言い方せずにはっきり言えばよいのに。納得いかない、と。
 ヒダカトオルBEAT CRUSADERSというバンドの中心人物だった人。今年9月に解散した。おっさんのくせにヌケのいパワーロックをやるという趣向で(ヒダカ氏42歳)なかなかの人気者だった。私もCDを持っている。けっこう好きだった。いっぽうmonobrightは若手新進バンドで、メジャー活動2〜3年、エキセントリックで元気の良いロックをやり、すでになかなかの個性と人気を確立している。私はもう「こういうのはお腹いっぱい」だが、個性的で悪くないんじゃないかと思っている。
 しかーし!一緒になるとなれば話はまったく別である。
 ヒダカさんてばさー、ビークル解散のちょっと前からGOING UNDER GROUNDのプロデュースをやりはじめてさ。それで出てきたゴーイングの新曲が、なんつーか…「スケールのちっちゃいビークル」だったんだよな。そりゃプロデューサーが同じなら似たような曲になるのは当たり前だけどさあ。昔からシカゴだろうとセリーヌだろうとチャカ・カーンだろうとデヴィッド・フォスターがプロデュースすれば似たような曲になっていたようにな。しかしなあ…。あたしゃどっちのバンドも好きだが、世にビークルはふたついらないのである。あーあ。と思っていたら次はモノブラなんだ。しかも正メンバーとして入っちゃうんだ。あーあ…。モノブラを応援してきたファンの心中、心よりお察し申し上げる。
 興味ない人にはわかんないかもしれないけどさ。こういう音楽にどっぷりハマっちゃってるファンは、バンド同士の微細な違いを追求し、個性として愛でて、それを動機付けにCD買ったりライヴに赴いたり応援したりしているわけだ。そういうファンの気持ちをどうするつもりなのかね。今回の加入沙汰で。
 例えてみればオモチャで遊ぶ小さな女の子のようなものだ。「リカちゃん人形だいすき!でも、クマさんのぬいぐるみもだいすき!どっちも同じぐらいだいすき!」という子がいたとする。ではこのお嬢ちゃんに顔はリカちゃんで胴体はクマという人形を与えたらどうなるか。2倍喜んでくれるのか?…誰でも答えはわかる。女の子はギャン泣きするだろう。だってそれはもうクマさんでもリカちゃんでもない、気味の悪いキメラだ。なのに…「これで2倍可愛がってもらえるだろう」と考える人間が、いるんだなあ。
 最近の音楽業界ではこういうのが実は多い。「コラボ」ってやつだ。今回の沙汰に「うー納得いかねー納得いかねー」と唸りながらパチッとテレビつけたら「スペースシャワーTV」。riddim saunterが出ていた。これまた私の気に入っているバンドのひとつ。
カジヒデキさんとコラボしました!」嬉々としてのたまっている。そして合奏場面が流れた、のだが…。ものの見事にぶちこわしになっていたw カジヒデキの良さもriddimの良さも。昔から歌唱力は少々おそまつだったけれどアレンジや着想のセンスのよさで評価を得ていたカジヒデキ。個性が強いがウキウキと明るいバンドサウンドを邪魔しない、軽やかなヴォーカルのriddim。おそまつなばかりか年輪を経て変なクセまでついたカジの歌が、riddimの演奏の軽やかさをぶちこわしていた…。
 「一緒にやったら面白いんじゃないかと思って」。「コラボ」をやるミュージシャンの常套句だ。そりゃ演るほうは面白いだろう。マンネリ打破で刺激になって。しかし聴くほうも面白いとは限らない!むしろ面白くない場合が最近多い!「個性の違う者同士で、化学反応が起こるのを期待した」。これも最近よく聞く。音楽は理科の実験じゃない!化学反応の結果とんでもない実験失敗品ができてくることもあろうに。どうもユーザーはそういった「試作品」を押し付けられているような気がする。「うまくいかなかったからリリースやめた」って話を聞かないもん。
 一応は客商売なんだからさあ。コラボをした!楽しかった!刺激になった!さて、お客さんも同じように楽しんでくれるかな?と、僅かなりとも立ち止まって考えて…いるのかな?それともこういったファンの反発も、ヒダカさんにとっては織り込み済…
なのかな?
 まあいいや。良くなければ聴かないだけ、CD買ったりライヴ行ったりしないだけのことだ。「あーあ人生の愉楽をひとつ失くしちゃったよ。もうちょっと楽しんでいたかったんだけどねー」と無聊をかこちつつ。 
 

娯楽と対価

 たいへん申し訳ございませんでした放置が長くて。とにかく…忙しすぎるんです。昼の会社も香港漫画店も。うわぁぁぁぁぁぁぁん(号泣)忙しいようーーーうぇぇぇぇん(爆泣)テレビ見る暇も漫画読む暇もないよーーびえええええーーーーーん(激泣)
 泣く前にお伝えしなければならないことが。旅日記サイトとして残していた「香港之門 中国之門」ですが、このほどプロバイダがサービス終了しました。そしてサイトのデータは、他サービスへの引越しは行ないません。10月31日、プロバイダのサービス「iswebライト」の終了とともに、「香港之門 中国之門」は消滅しました。
 って半月もたって告知するのかよ遅っ!ひどいですね。すみません。これまで見ていただいた皆様ありがとうございました。
 や、いい潮時なんじゃないかなと思って。データが古くなってきてたし、新しいコンテンツも書けないし。香港には相変わらず行っているけれど書けないことが多すぎる。いわゆる「社外秘」ってやつですね。この情報こそが香港漫画店のおまんまの種、という。むりにUPしても伏字だらけじゃ何がなんだか、でしょう。戦時中の新聞じゃあるまいし。
 現地での行状は今も、行く度に手帳に詳細に書き残しています。これは私が死ぬときに誰かに遺贈するつもりだ。お店を継いでもらう誰かに。遺された人が公開するなら公開するだろうし公開しないなら永遠に闇の中。それはその人次第。だけど旅日記には仕入先の詳細のみならず、消えたサイト上で「プライバシー保護のため中略」としてあった部分、WEBで公開すると本当にエライことになってしまう部分があるのです。手帳の行方はちゃんと遺言書で指定してから死のうと思う。って要するに宮本輝「オレンジの壷」に影響されてるんだけど。クダラネ。
 このはてなダイアリーのブログはもちろん残りますヨ。そのうちまた暇になっていろいろ吐きたくなった時のためにさ。しかし今は吐く暇すらなさ過ぎる。ぐげぇ。
 もちろんこの2ヶ月間いろいろ思うことはあった。書きたいことも。手短にひとつだけ書いておこう。「水嶋ヒロは悪質だ」と。
 ああはっきり断じたい。「悪質」なんだよ水嶋ヒロは。
 少々旧聞で恐縮だが。「ポプラ社小説大賞」受賞が出来レースだとかどうとか、それは私にはわからない。もしかしたら本当に応募作千数百通を凌駕する傑作なのかもしれない。が、賞金2000万円の受領を辞退した。これがどうにもこうにも許しがたい蛮行だと思うんだよ私は。
 作家という仕事に就く。小説を書いてお金を稼ぐ。この営為自体を愚弄する蛮行だと思うんだ。
 ほかに千数百人が、小説でお金を稼ぐ、食べていくことを希望して応募した。リクルート活動と何ら変わりない。世の中には「文章を書くこと以外なーんにも出来ない」という人間が確かに存在する。ひとつのことしか出来ない人間って、いる。
 きょう、洗濯物を干しながらふと思ったんだけど、わたし家事が苦手でなんでもヘタクソ、きたならしくしか出来ない。ブサイクでモテないし、無愛想で人付き合いもすごく苦手。主婦ぜったい出来ないわー。それでも生きている。生きるために出来るいくつかの―たとえば異国の言葉を2つあやつれたり、そこでご飯の種に、かろうじて出来ているからだ。でもそれしか出来ないよ。
 同様に「文を書くことしか出来ない」人が、世の中に確かにいる。
 そういう人が賞金2000万円を生活の糧にしたくて、ポプラ社小説大賞に応募する。が、そいつらを蹴散らして頂点に立ったWinnerがだ。「ぼくは俳優で稼げるし嫁さんの印税もあるしお金には困っていないから、いりません。ただでいいです。」なんて!なにそれ。人を愚弄するにも程がある。
 同時に。人から「おもしろい」と判断されたものには必ず対価が払われなければならないのよ。いま「1Q84」が中国のサイトに無断UPされてタダ見できる状態になってる、って問題があるでしょう。娯楽には対価が払われなければならないの。それには人ひとりの意思なんて関係ないの!これからも「おもしろいもの」を作っていく、大勢の人のために。水嶋ヒロは2000万円を、「もらわなければいけない」のである。
 そんなにお金もらうのがいやなら、賞金なしの文学賞もあるのにねえ、そっちにすればよかったのに。やってることが矛盾してるのよ!

漫画を読んで出直せば?

 いやー放置が長くてすみません。とにかく…忙しかったの。いろいろと。やっと少し落ち着いて、さて…
 数日前のこと。朝起きて新聞を開いたら、大学のときの同級生が顔写真入りで載っていた。すわ!なんかやらかしたか?って違う。尖閣問題で「識者の声」としてコメントを寄せていた。
 識者!うっひゃー同級生が識者になっちゃったよ。大学の准教授になったのは知ってたけどな、K君。ほへー。とりあえず記事を見てみる。ふむふむ。私の感想は……K君ぜんぜん顔変わらないなー。オヤジにはなったけど。まあそんなことを言ってる私もババアになってるわけか。…ってそこじゃない!中国外交史が御専門のK准教授は尖閣問題をどう語っているかというと、あらまぁー、ちゃんと朝日が喜びそうなことを、喜びそうなふうに言ってるじゃない。たいしたメディア芸者に成長したんだなあー立派立派。同級生の成長ぶりを見るのは楽しいね。
 私みたいに「またか」「ほっとけば?」のひとことで済ましちゃう立場と違って「識者」はたいへんだねえ。そのとおり私は尖閣諸島沖漁船衝突問題に関して「またか」以外これといって意見も感想もないのだが、あらあらSMAPは上海公演延期するの。なんか学生交流とか観光推進イベントも派遣中止したとか。
 …っていうかSMAPはもともと何か理由つけてやめたがってるようにしか見えなかったもんなー万博出演キャンセルのときから。中国公演したくないんでしょ。いやそもそもグループの公演を…おっとゲフンゲフン。学生交流とかああいう、おざなりでお仕着せなやつもさあ。ウゼーと思ってる人間が少なからずいるからこそ、こりゃ勿怪の幸いと「大事をとって、万が一の安全のために」中止するんでしょ。
 ただあれだねー。そういうやる気のない人間が事件を利用してパタパタッと中止を決めちゃうと、「右へならえ」でみんな中止になっちゃうんだよね。今年の東京国際映画祭は中国・香港関係の映画特集がたくさんあって、俳優や関係者の来日もある予定だけど、これも中止になるのでは、とファンは危惧している。アタシも「葉問」とか「打擂台」とか見たいし、主催者も観客もやる気たっぷりなんだからやめないでほしいよ。
 うちの店だってなーんにも影響ないし。でも「日中関係悪化が香港漫画店の売上げにも暗い影を落とし」たほうが、世の中的にはおもしろいんでしょ?すでに香港は中国の一部だそうですから。日本のマスコミにとっては。こないだマニラでバスジャックがあったとき被害者を「香港から来た中国人」と報じててさ。「あーあ日本のメディアの中にはもう『香港人』はいないのか。いるのは『中国人』だけかあー」とカクーンとショックを受けた。いくらあたしが「香港は香港!大陸といっしょにすな」と主張してもムダなんでしょう?で、「この媚中派ネットショップめ」とネトウヨちゃんに営業妨害されて商売立ち行かなくなった…的な流れになれば、みんなおもしろがってくれるんでしょう?
 お・あ・い・に・く・さ・ま!!何の影響もございません。現地の人ともお客さんとも仲良くやってるヨ。まあ「樹大招風」のことわざどおり、ネトウヨちゃんたちにすら見つけてもらえない零細店っちゃ、そうなんだけどさ。
 まーしかしあれだよ。なんだかんだいっても断交とか武力衝突とか、そこまでは誰も考えてないんでしょ?
 かたや「俺ちょっくら反日デモ行って日の丸燃やしてくるわ」「あら出かけるの?だったら帰りに『non-no』の輸入版買ってきてちょうだい」、またはインターネット見て「松潤の夏ドラ『夏の恋は虹色に輝く』まあまあ面白かったなあ。秋ドラの二宮も楽しみだな。お?サイトにアンケート画面が。なになに『保釣行動で日本と戦争すべきか?』うーん、まあいいや、『是』にぽちっとな!」そんな感じの中国人。かたや麻布の中国大使館へ「尖閣抗議!」と気勢あげてデモ行進する若者達のお召し物が上から下まで全部ユニクロだったりする日本人。どっちもどっちじゃね?
 漢人は「中華民族」というように、自分の民族が世界でいちばん立派だと伝統的に思っているからねえ。プライド傷つけられることに敏感なんだ。あと領土や覇権に関して日本人とは比べものにならないぐらい激しい意識がある。そりゃもう3000年以上のあいだ、異民族に領土と政権ぶんどってやるぜとしょっちゅう攻め込まれて毎回武力で解決してるわけだから。勝ったり負けたりも繰り返しているしねえ。
 うちの香港コミックはカンフーやチャンバラの出てくる中華時代劇「武侠もの」がとても多いわけだが、いちばん頻繁に出てくる時代背景はいつだと思う?「そりゃ三国時代でしょ」というのは日本人の考え。圧倒的に多いのは「宋代」なんだ。それも後期、末期。ご存知のとおり宋の次は元。最終的にモンゴル系民族に覇権をとられちゃうわけだが、その前から東北部の異民族国家、金だの遼だのが攻めてきて後期はズダボロの状態だった。そんな中で「失われた漢人の覇権をとりもどすんだぁぁぁぁぁーーーっ!」的な感じで英雄が熱く活躍するわけ。うちのベストセラー「四大名捕」がそうだし、金庸のいちばん有名な作品「射雕英雄伝」&「神雕侠侶」も「宋」。金庸は明末〜清代のお話も沢山書いているけど読者のほうがイマイチ盛り上がらない(笑)。いまあらすじ書いてる「少林寺第8銅人」という作品も、完全なフィクションで時代背景はぼやかしてあるけど、蒙古民族の強国が大いばりしているところから宋〜元あたりを意識しているとわかる。
 ま、長い長い歴史によって醸成された刷り込みだわね。「漢民族の威厳を守るんだぁぁぁぁーーーっ!」的な話になると、向こうの人たちは必要以上に血がたぎっちゃうわけだよ。そのへんの民族性を、政治のトップをはじめ日本人はどれぐらい知っているのかなあー?
 「またか」「ほっとけば」とは思いつつ、温家宝たん自ら「はよ船長返せ」言い出したとなれば、そろそろ政治の出番かなあという気もする。しかし菅首相外務相をはじめ「出番ですヨ」な皆さんがどれぐらい、こういった中国人の特性をわかっているのかねえ。まあ中国人に譲歩ばっかりしてると後々の領海権とか資源開発とかにもかかわってくるから、足元みられないようにきっちりしといたほうがいいとも思うけどねー。
 そういうわけで漫画を見ていると「漢人ってこういうこと考えてんだなあ」とよくわかる。じゃ、中国人との交流が何かとクローズアップされる昨今、「相互理解に効く!」「中国人とのビジネスに効く!」みたいなアピールをビジネスマン向けにして売ってみようかな、とも考えたことがあるが、やめた。だってしょせんは漫画だもん。漫画はまんが!おもしろいかどうか、それだけじゃん。なにかに「効く」とか「役に立つ」とか、そんなん考えるもんじゃない。
 とはいえ今の日本の政治トップをみていると、おつむの中身は漫画以下だなあって気がしなくもない。うちの商品読んで出直せば?(あ、K君は読まなくていいよー。)

世界一周!六本木昼餉(25) タイ

六本木で、ランチだけで世界一周は可能か?


 さて今週はタイ。昔CMでいしだ壱成が「タイは若いうちに行け」と宣伝していたタイ王国である。(そういえば壱成クン今どうしているんだろう?親父さんの結婚式には来たってワイドショーで言ってたけど。)まあ彼のご託宣をいただくまでもなく若いころに一度行って、それっきりだなあ。いいところだったけどね。海が青くて。クルマ道の夏の熱風がアツくて。
 そんなタイの料理だが今やグリーンカレーがレトルトでどこでも買えるぐらいポピュラーだ。六本木にも何軒も専門店がある。ならばちょっと小マシな店を選びたいよねえ。なかなかヨサゲなお店を見つけたよ。自由が丘に本店があるという「タイの食卓 クルン・サイアム」だ。
 東京ミッドタウンの前、外苑東通りを渡って、六本木のごちゃごちゃした住宅街にちょっと入る。と、目の前に崩壊しかけの木造あばら家があるのでそこを奥に入っていくとすぐだよ。オープンエアーの、形のばらばらなテーブルが3つほど置かれたテラス、その奥にお店がある。中はとっても狭いヨ!せっかくだから外のテーブルを陣取る。猛暑の続く日本列島、訪れた日もそりゃもうオニ暑かったんだけど、なんかこう、妙にタイっぽい雰囲気があるんだなあ、このテラス席。目の前はただのアパートなのにな。
 ランチメニューでも焼き飯、カレー、炒麺、汁麺などタイの定番食がひととおり揃っていて選択肢豊富。おしながきの炒麺のところに「旅行者で道中こればっかり食べてる人、いますよね!」などと書いてある。貧乏旅行容認派(沈没容認派)かあ。わりと小奇麗な店なのにネ。で、私はひき肉炒めぶっかけ飯「ガイ・パット・バイ・ガパオ・ラート・カオ」を頼んだよ。¥950。
 ランチにはスープと、一口サイズの生春巻が付いてくる。スープからぷぅ〜んと漂う辛酸っぱい香り。無色のおすましだが飲んでみたらトムヤム味。これだけでも十分タイの香りがする。具はフクロタケとエビがぽつーんと浮いているだけなのに。一口春巻には、これまた香港のタイ料理店でテーブル常備の甘いチリソースがかかっている。雰囲気出る〜。で、メインのひき肉ぶっかけ飯。東南アジアの大衆食によくあるように目玉焼きがのっている。どうしたらいいかといえば、そりゃ肉・卵・飯をぐちゃぐちゃにまぜて食べるのが正解だよねー。飯は長粒米、いわゆる「タイ米」。この匂いがあってこそだよねー。炒めひき肉は若干、日本のおしょうゆ味っぽいけど、卓上のナンプラーをかければそんなのどうでもよくなるのであった。ナンプラーは2種類おいてあってしょっぱさが違うヨ。
 隣の席の客は近隣の他店「BANGKOK」も行ったことがあるらしく「バンコクよりは味がマイルド」と言っていた。でも十分「地元あじ」だと思うよ。手軽に「タイ分」を補給するのにぴったりのお店だと思います。しかし惜しむらくは香菜ぜんぜん使っていなかったこと。スープにも春巻にもメインにも。なんでかな?メニューによるのかな?それとも切らしちゃってたの?使わない主義?あたしゃ香菜好きだからこれだけは惜しいねえ。テラス席は夜もランプを灯して使うみたいで、片隅に「金鳥かとりせんこう」が置いてあったよ。(マストだね!) 


本日の評価 ☆☆☆☆