あこがれない空の旅

 JALどうなるんだろうね。っつーかこれだけ火の車だと、誰でもまず気にしちゃう、だけど恐ろしくて誰も口に出せないのが







マイレージどうなるの?」






 こんなにさ…さんざん「陸マイラー」だのなんだの、マスコミ挙げてマイル集めを煽っておいて、さて経営の重荷なので全マイル無効ですよなんてことになったら暴動が起きるわな。あ、日本人はやさしくておとなしいから暴動はしないのか。いや暴動起こした方がいいよ、責任者出て来い!って。こんなこと書いたら扇動罪でお縄になっちゃうのかな?
 そういう私も中途半端にJALマイルがたまっている。どれくらい中途半端かといえば…9,900マイル。わっはっはっマジで中途半端だなあ!なんでこんなことに?私は基本的にANAマイラーなのだ。…おととしの狂乱原油高で燃油サーチャージが上がって、出張するにも日系航空会社は高すぎて乗れなくなっちゃったんだ。ただCXだけが香港政府の抑制政策のおかげでマトモなサーチャージで乗れた。だからしばらくCXでJALマイルをためる羽目になった。以来、乗りマイル=JALマイレージバンク、陸マイル=ANAマイレージクラブという分散状況が続き、両方でハンパなマイルがたまってしまっている。合計すればふつーに台湾往復できるぐらいあるのにな。マイルは1万なければほぼ何の使い道もないのだ。JALマイル1万まであと100。ところがこの100マイルが難しい。Edy、T-POINT、楽天スーパーポイント、お財布コイン…といったポイント関係はすべてANAに集約してるし。じゃあもう一回ぐらいJAL乗っとけば?って話だが、死んでもいやじゃ!もうJALなんか!
 いまや空飛ぶブタ箱だよあんなの。人を人とも思っていないあのサービス!ウェルカムドリンク端折りやがって、と怒っているうちはまだ甘かった。このあいだ出張行ったらミールが往路ひき肉カレー、復路カツカレーだった。カレーばっかり食わせやがって!あたしゃキレンジャーか。しかも付けあわせがマカロニサラダ一品とか。給食以下だ。ひでぇよ。言うまでもなくゲロマズだし。ドリンクのワインは当然のような顔でペットボトルだし。鴻毛のような軽さに泣きましたよあたしゃ。と思ってたら今度は機内の新聞廃止だって。これはANAもだけど。それ…困るなー。帰りの飛行機の新聞で日本の大事件を知るってパターン、ままあったからな。いかりや長介が死んだときも、知ったのは香港帰りの機内だった。新聞は必要だよ。あのくだらなーい機内誌を廃止する方が先なんじゃないかな。
 って、コスト削減の名のもとにJALANAもどんどんブタ箱化が進行してくんだろうなー。ANAプレミアムモルツもスパークリングワインも、いつまで続くんだろうな。ドリンクでワインを頼むと、エコノミーでも社名刻印入りの素敵なガラスコップに注いでくれた昔が懐かしいなー。
 とか言ってるうちにJAL再建問題は迷走し、国際線業務をぜんぶANAに明け渡すなんて説まで出ておるなあ。じゃあマイレージJALANA統合なの?などと言っている不明の輩がいるがそれはないべ。JALのデルタとの提携はどうやら本決まりのようで、それによってワンワールドからスカイチームへの移籍も確実かと。まあ、そのスカイチームの中で融通利かせて現有マイルを使わせてくれるとか、落としどころはその辺じゃない?ただそうなったら今みたいに「多彩な特典」に換えさせてもらえなくなるのも確実。ましてワンワールドから抜けたら、これまでのようにJALとCXの両翼でためることができなくなり、香港路線しか乗らない私にとっちゃ大打撃なのだ。その前にさっさと1万ためてWAONポイントにでも替えたいのだが、あと100マイル、ほんの100マイルが、どーもならんのだよ。
 しかし流血中のJALにかわって国際線をANAに集約していくというのは、方向としては固まってるみたいで、そうなると今のように、ほぼ同時刻に香港向かって赤い翼と青い翼がいっせーのせっ!でテークオフ、という情景はなくなるのだな。どっちか片方になる。すると今のように、JALANAキャセイ、赤青緑で三社なかよく飛ばしていた香港路線は、単純に2/3の便数になる…のか?あの常時激混みのドル箱路線が、2/3に?チケット買えなくなっちゃうじゃんかよー!出張行けないじゃーん!
 って、心配する必要はたぶんない。空いた発着枠にどうせ激安航空会社が新規参入してくるから。あの、オーストラリア路線のジェットスターみたいなやつがな。すでに香港―大陸間に「ホンコン・エクスプレス」という新会社が飛ばしているが、あれが日本進出してオシマイだろ。そして香港路線も、アルコールどころか機内食も出なくて当たり前、毛布も映画も音楽も新聞もなくて当たり前、まるで東京―大阪の高速バスみたいに窮屈なキャビンに押し込まれ、4時間身動きもとれず…と、ますますブタ箱化が進行するんだろうな。やれやれ。あー、やだやだ。
 いや、二極化が進むのかな。これまでどおりのサービスが欲しいなら、高いカネ出してANA乗りな。カネのない奴はブタ箱で十分!という。貧乏ネット店主にとっちゃ夢もチボーもない空の旅の時代がやってくるのか。今までが良すぎたのかな。格安割引運賃でも機内紙のサンスポ片手にプレミアムモルツかっくらって、気が向いたらシートテレビで小林克也の「ベストヒットUSA」ながめてゴローンとひっくり返っていれば香港に連れてってもらえて、しかもマイレージのおまけつきだなんて。その代償がJALANA揃っての出血ダラダラ大赤字なんだなあ。今までたっぷりしゃぶらせてくれてありがとうと、むしろ感謝するべきか。
 そして香港路線が高速バスなみの奴隷運搬機になったときこそが、真のグローバル化の瞬間なのかもね。洋行が何ら特別なことではない、誰もあこがれない、ちょっと大阪行ってくるのと同じ、みたいな。
 だけどさー。海外旅行にはゴージャスなロマンがすこしぐらい残されていてもいいと思うし、商用渡航者にしたって、日本にはない珍しい物品を、日本じゃとてもつくれないような安くて良い品を、日本の消費者にお届けするべく、勝手の違う土地でヒーコラがんばってるんだ。貧乏主婦がむらがる激安衣料店「のとや」のバイヤーだって、今日は華南で明日はタイと飛び回っているというよ。そういう苦労に少しでも報いるような「おもてなし」があってもいいと思うんだなー、飛行機には。あたしにゃJALは、お高くとまっていて、チケットもちょっと前まで少しも安くしてくれず、下がったかと思えばブタ箱化で実にいけすかない存在だが、公的資金の注入や融資枠増大は、まあ、悪いことじゃないと思ってるよ。どうせ次はANAの番だしね〜!