ふれあうぜ！「世界ふれあい街歩き」

　最近TVネタばっかりだなあ。ちーともTV見ない人間のくせに。でもこの番組だけはビデオに録ってでも見るぜ。NHK「世界ふれあい街歩き」。
　最近、地上波でも再放送企画ひんぱんにやってくれて嬉しいぜ！今夜もレギュラー放送のほかに「バンクーバー編」の再放送があるぜ。オリンピックがらみとはいえ。
　ヤマもオチもまるでない海外紀行番組だ。手持ちカメラでフラフラウダウダと街を歩き回り、出会った通行人や店番や子供やヒマな年寄りたちと話をして、たまに家に入れてもらったり食いモン勧められたり土産品売りつけられそうになったりするけど、頑として「食わない。買わない」を貫いている。そのへんの政府観光局タイアップの「わー、おいしい！すごーい！」とか喚くばかりの海外旅行番組とは一線を画す。日本語のナレーターが話しかけると、現地の人が字幕つき現地語で答える。ときどき会話がかみ合っていない（笑）。おーい通訳ちゃんと仕事しろよー。と、己をさしおいてTVにツッコんでいる。
　世界の津々浦々いろんな街へ行く。脈絡がない。アルゼンチンとかニュージーランドとか中国のド僻地とか、どこよココ？みたいな街も登場するが、そのままNHKつけっぱなしにしてるとハイビジョンの「海外大自然紀行」とかの番宣が流れてきて、「なーんだ、ついでに撮ってきたのかよー」とバレてしまう。でも主目的で撮ってきた、カネのかかった大型紀行番組より往々にしてこっちの方が面白かったりする。実はこれもカネと手間がふんだんにかかってるらしいんだけどな。ナチュラルなフラフラウダウダ感を出すために、めちゃ高性能なカメラを使っているそうだ。
　さてそんな津々浦々の中でどこがいちばん面白いかというと、これが断然アジアだ。本当は遠くて絶対行けそうにないぶん、ヨーロッパ諸国とかモロッコとか南米とかの街が見たいのに、そういう街のオンエアを見ると、なんかいつも…途中で飽きちゃうんだよな。綺麗な街並み、独特の建造物、興味は尽きないはずなのに。逆に、すぐそのへんで行って帰ってこれる、観光資源にも乏しい、どうでもよさげなアジアの街が、なぜかこれ妙にツボだ。先々週のクアラルンプールもよかったし、去年見たシンガポール、北京、広州、マレーシアのクチンなんかもよかった。
　なぜだ？これらの街、実際行ってもたぶん絶対つまんない。中国は当たり前として、東南アジア各国にもたいがい中国人が住んでるじゃん？中国人の住んでるところって大概どこも似たり寄ったりなんだよな。屯門や長洲島みたいな香港の田舎の下町とおんなじ。店や家のつくりも、売ってるものも、人の食ってるものも。
　アタクシにとっては何の新鮮味もない。地元の食いもんのシーンでも「あっ、その汁麺、あやしい具をいろいろブチ込んでてうまそー」とか「その餅菓子ぜったい端っこが干からびててまずそー」とか「その揚げスナック油臭そーでくどそー、ぜってー食えたもんじゃなさそー」とか容易に想像ついちゃうんだわ。においまで立ちのぼってくる気がする。屋台のおっちゃんはコテコテに饐えた揚げ油の前で「うまいよ。１個食べていきなよ」と満面の笑みで勧めるけど、こっちはにおいだけで胸ヤケ、とてもじゃないけどゴカンベン〜、みたいな。
　そこがいい。
　「なんだーこの街つまんないなー」と言いながら実際にウロウロボケーっと暇つぶしに散歩しているような、そんな気分になる。ランニングシャツ一丁のおっさんとか出てくると、なんか、歩いているときのネトッとした暑さまでじかに伝わってくるみたいだ。つかのま、ヒマでノンキな旅人に戻れるんだ。
　あとこの番組のアジア編、裏テーマで「誰も知らない中国の中途ハンパな秘境」というのがあってな。私だって初めて名前を聞くような小さな街、だけど非常に特色ある街並みを、よくまあ見つけてくるもんだという勢いでしつこく追っている。NHKの中国といえば「関口虐待大紀行」もとい「中国鉄道大紀行」でさんざんやったからもういいじゃん、とも思うのだが、マメにやっている。こんなに近い国なのに、行き方さえ皆目見当つかない街ばかり。まさに中途ハンパな秘境（笑）。こういうの見つけて撮ってくることこそ、テレビの役目だよなあ、と思う。先月やった「ロウ中」なんてまさにそう。（「ロウ」は門構えに『良』と書くそうだ。そんな字見たことねー！！IMEでも絶対出ねぇー！！フォントで出ない街を取材すんじゃねーよこの広報泣かせが！このっ、このっ、このっ！）（←おもしろがっている）
　そんな「世界ふれあい街歩き」だが過去に香港編ももちろんオンエアしていて、「香港島の巻」「九龍の巻」の2回に分かれていた。私は残念ながら九龍しか見ていないのだが、これも面白かった！だってカメラの行き先、私が買い付け出張時にうろちょろする場所ばっかなんだもん。「あー、そこの角を曲がったところに我が定宿が〜！」とか「あー、そこは深夜12時開店の露店のおっちゃんの縄張りだ〜！」とか、はたまた「そこ、そこの露店のうしろうしろ！アホの坂田似のおっちゃんがいる本屋さんだよ〜！」とか。思わず露店のビニールテントをペロッとめくって「本屋のおっちゃんに挨拶しなくちゃ！」って、我が家の14型ブラウン管テレビへ手を伸ばしそうになったもん。あたしゃ乳幼児か。テレビと現実の区別ぐらいつけよう（笑）。まあそれぐらい臨場感のある番組だということだ。DVD化もされてるみたいだから、興味あるなら見てみれば〜？

世界ふれあい街歩き 中国/香港 九龍・マカオ [DVD]