世界一周!六本木昼餉(2) シンガポール

  六本木で、ランチだけで世界一周は可能か?

 という疑問をもとに週一ペースで壮大な実験中の当ブログ。第二回目はシンガポール。東南アジア・マレー半島の先端に位置する都市国家で、交通交易の要衝でありまた植民地支配、太平洋戦争の攻略拠点、マレーの復権、独立と歴史に翻弄され続けた土地でもある。そんな地を店名に掲げたモダンなカフェレストラン「カフェ・シンガプーラ」。六本木ヒルズエリアのはずれ、テレビ朝日とツタヤが向かい合う交差点に面して立つ、白壁の一軒家である。
 入るなり「おっ。あっち方面の食い物屋のにおい」。香港〜東南アジア方面特有の。ただ五香のにおいがなく、生姜がちょっと勝ってるかな。コロニアル様式をまねたと思われる内装、簡素ながらシャンデリアなどしつらえられ、がんばって醸した重厚さ&オシャレさはあるのだが、においは消さない方針なのね。
 ¥850でいくつかの飯もの・麺ものから選べる。というわけで海南鶏飯を注文。頼んだあとで気がついた。これって要するに「華香鶏」のトリごはんと同じやないかい。香港でいつでも食えるがな!!阿呆か私は。シンガポールにはもっと特有の食い物があるだろう…と思ってメニューを見て改めて気づく。炒め物、蒸し鶏、カレー、辛いスープ、要するにマレー・インドネシア料理か中華料理なんだ。中国人、マレー人、旧宗主国の西洋人、人種のるつぼといわれるシンガポール。それぞれが母国固有の食い物をただ食ってるだけだから、「シンガポール名物料理」など、ないんだよな。…肉骨茶とかかなあ?そっち頼めばよかったのかなあ。
 で、出てきた鶏肉はやっぱり華香鶏だった。五香がないだけで味はかなり近い。ただ、付け合せの3種のタレのうち、ソイソースだれがかなり日本の醤油に近い風味だったこと(『当店ソイソースは海南鶏飯発祥の地・海南島のホテル仕込みの本場の味です』とか書いてる割にはさぁ…)、肉にもほんのわずか日本の醤油味がきいていることから、日本むけのテイストになっている気はする。香港人は「五香が入ってない!こんなもん食えるか!キーッ」ってなっちゃうかもしれないが、私は五香がキライなのでむしろ華香鶏にこそこうしていただきたい(笑)。そうしたら出張時に毎回食べに行くのに。肉そのものの滋味や弾力は香港のに及びもしないが、それでもかなり良い肉を使ってるとは思う。フニャと柔らかい。
 ごはんはもちろん地元らしく長粒米で、すこしだけ味がついている。うまい。タレの残り2種はおろし生姜と赤いチリソースで、チリはうちで使ってるやつと同じ味だなあ。水色のラベルのやつ。でもおしなべて良いお味だったと思いますよ。ただカウンター席は椅子が小さくてくつろげないなあ。ランチは、さっと出すからさっと食ってさっさと店を出ろ、ってことか。集団で行けば窓際か2階のテーブル席に案内してもらえるのかしら?
 

本日の評価 ☆☆☆☆