世界一周!六本木昼餉(11) イギリス

六本木で、ランチだけで世界一周は可能か?


 このブログのことを知った友人が「鉄腕!DASH!でやりそうな企画だ」と言った。確かに、どっかのテレビ局がいかにも考えそうだよな。六本木は近隣にテレビ局が多いので、ものぐさなグルメ番組の中にはこのへんの店の紹介でお茶を濁すとこも多いし。でも…いま、この企画を実際にパクるテレビ局はないだろうな。過去10回、一膳の平均価格は900円ちょい。その予算が出る局は、ないんじゃないの?なんたって一杯の牛丼をふたりの芸人が分けあって食べて、それで在京キー局が番組一本作っちゃうご時世だもん。
 ってそんなことはおいといて本日はイギリス。世界に冠たる「食い物のまずい国」イギリス。とよく言われるが本当かね。あたしゃイギリス行ったことがないからわからないが、よっしゃそんなにまずいなら実際にこの舌で確かめてやろうじゃないの。
 土日祝日しか昼営業をしない、正統派英国パブ「ホブゴブリン」。本日は祝日ということで行ってまいりましたよ、休みなのにわざわざ定期券使って。外苑東通りのロアビルの先、ドンキからもうちょっと東京タワーに向かって下がっていったところにある、青くいかめしい外観の店がまえ。店の内にも外にも、もう日本語というものが見あたらない。黒板に書かれたランチメニュー「Today's Special」からしてすべて英語。
 中はマジでひと気がない。意外に広い店内はガラーンとし、カウンターで駄弁る客と従業員のおっさん、ほかに止まり木に突っ伏して寝てる客がひとり。途中で若いカップルがフラリと入ってきて、なにか手紙などしたためたあとさっさと出て行ってしまった。以上全員白人。ガイジンのガイジンによるガイジンのためのお店である。奥に丸テーブルが並ぶ。カウンターともども黒光りする木造り。天井から下がるランプをはじめ調度品はみな真鍮だ。酒瓶がずらりと並び、欄間に思い出したように置かれた陶製ビアマグ。実に重厚、まさに大英帝国の正統パブ。カウンターテーブルの木はちょっと年季入ってすりきれているけど。
 でそのToday's SpecialからCod Fish Cake and SaladでJPY1,200。「Would you have some drink?」「Uh...Beer. In this list, do you have some recommendation? First time to come here.」ってなんで私英語で話しかけてんの?ここは日本だ!なんか知らんが英語スイッチ入っちゃったよ。で、すすめられたのが「ホブゴブリン・ダークエール」という店の名前を冠した黒ビール。サーバーからちょっと注いで味見させてくれた。うーんフルーティ。これにする。3/4パイント(中ジョッキサイズ。あと1パイントというのがあってこれが大ジョッキなのかな?)。
 グラスに注いだあとのダークエールはそんなにフルーティではなかった。そして出てきたお料理。Cod…ってなんだったっけ?って頼んだあとで辞書で調べるなー!ケータイの簡易辞書をみると「タラ」。なるほど、Cod Fish Cakeはタラ入りのコロッケであった。コロッケか…台風のときぐらいしか食わんのう。(←2chのやりすぎ!)
 で、お味は…「どんな食べ物も揚げたてはうまい」。これしか言いようがない。揚げ油もあんまりよくなくて臭いしさ。なるほどこれがイギリスの味なのね。コッテリしたタルタルソースつき。付け合せのサラダにもデフォルトでマヨネーズがたっぷりかかっていた。私マヨネーズ苦手なんですけど…しかたない、これはマヨネーズではなく欧米の小説によく出てくる「マヨラナ・ソース」なんだ。と、自分に言い聞かせて食う。スライスピクルスがデカいまんま入ってたりする、まさにサラダというより「Salad」。なんか昔の機内食を思い出す。いまみたいに「日本人の味覚にあわせた」とかシャラくさいことを言い出す前の。そんなSaladだ。スライス玉葱もたっぷり。
 お料理といっしょにテーブルにドンと置かれた、ハインツのトマトケチャップと塩とコショウ。そして同じくハインツの「モルトビネガー」なる茶色の調味料。なにそれはじめて見るんだけど。かけてみたら、ただの酢でした。麦を原料とする酢。
 で、このお料理で1200円は正直高い。まあ、これだけ重厚な雰囲気ということでショバ代でしょうな。休みの日じゃなかったら絶対こない。あとビヤなりなんなりのアルコールは必須みたい。だってパブだもん。シードルみたいな果物のお酒もメニューにあるよ。かえすがえすも昼下がりの店内は実に静か。これ書いてる只今は午前1時過ぎだがいまごろはワイワイ盛り上がってやかましいんだろうな。でもGWの家族連れの喧噪とはまったく無縁の静寂がここにある。どこに行っても人が多いだけだから、とGWはヒキコモリを決め込もうとしている皆様。こんな穴場もありますよー、ってことで。


遅くなりましたが評価 ☆☆☆

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