世界一周!六本木昼餉(14) デンマーク

六本木で、ランチだけで世界一周は可能か?



 ひきつづき「3大鬼門」のひとつ、デンマークを攻略。国立新美術館の裏手、通りを入って奥まったところにある、都内随一のデンマーク料理専門レストランという「Cafe Daisy」は、なにが鬼門かというと「高い!!」。いちばん安いランチセットでも¥1,500する。この日のために必死で節約してきた。毎週千円札一枚飛ぶランチを優雅に楽しみやがって、とデフレ不況の御世にあっては妬み嫉みを買っていることは容易に想像つくが、実は私もランチ予算を厳しく設定していて、週一度の諸国漫遊のために他の4日間は超緊縮財政を敷いているのだ。というわけで血と汗の1500円を握り締めてデンマークへ、いざ。
 外壁で目隠しされたテラス席も備え、明るく瀟洒なつくり。中はさすが北欧家具で名高い国・デンマークの店だけあって「センス命」という感じがひしひし伝わる。木材と白壁を実に絶妙のバランスで配し、何から何まで絵になる。テーブルに置かれた水のボトルに、ミントの葉が一枚浮かぶのさえいちいち絵になる。で、デンマークらしさはどこにあるの?センスが良いのはよーく理解したからさあ。
 店内はぎっしり満員。その大半がマダムの集団であった。赤ん坊を連れた若いのからオバチャンまで。「爽やかな5月の昼下がり、優雅なランチを楽しみに来ました」ってか?それにしてもうるさい。マダムは老若問わず声高なおしゃべりが好きだ。先週も触れたが六本木の新美術館には平日の昼ひなたから暇なオバチャンが大挙押し寄せる。道を横に広がってチンタラ歩くので邪魔なことこの上ない。そんな新美術館の出入口と目と鼻の先にある「Cafe Daisy」は、まさに暇な主婦収容所と化していた。しかし世の中には暇な女の人がおおぜいいるんだな。この人たちのダンナは今ごろ汗水たらして働いて、得意先にぺこぺこ頭下げているだろうに。ま、場違いなのは私のほうなのでしょうね。
 ¥1,500のランチはパスタ、ミートローフ、キッシュなどいくつかのメニューから選べる。滅多に食べないものをということで、小エビのせオムレツにする。スープorサラダ、パン、飲み物、デザートつき。味は、さすがに1500円も取るだけあって上品で、悪くはなかった。パンにスープにメインに付け合わせのポテトサラダまで。…ん?ポテサラ?今週あたくし¥400の納豆ランチセットでも食べたわね。つまりデンマークらしさは一体どこにあるのだ、という話だ。オムレツもごく一般的なオーロラソースであえた、ごく一般的なピンク色の小エビがのっているだけだし。…と、皿の底に字が書かれている。「ROYAL COPENHAGEN」…。コペンハーゲンデンマークの首都。なるほどそこがデンマークか。
 食器はハイセンスで贅沢なロイヤルコペンハーゲンだが、オムレツの盛り付けは世辞にもハイセンスとは言い難かった。黄色いオムレツに、ピンク色のソースであえた、おんなじピンク色の小エビがドバッとぶっかけられて…食欲そそらねー。きわめつけは接客。よそ見しながらシメのコーヒーとデザート(これまたごく一般的なパンナコッタ)置いて、そればかりか

 伝票をテーブルに投げてよこしやがった
 なんだよそれ。そりゃ私はオシャレさに欠ける、みすぼらしい身なりの一人客だよ。しかし投げることはないだろう。食い物はまずくないので星3つか3つ半にしようと思っていたが、減点だ減点。
 というわけで楽しいランチタイムにしようと思ったらこんなところへわざわざ行くことはない。こんな店は似非ハイソの田舎者マダムをまとめて騙す専用としておいといて、六本木はほかに良いレストランがたくさんある。よそへ行くことをお勧めする。あっ、でも、見てくれだけを重要視するシチュエーション、たとえば撮影とかインタビューとか成金のデザイン事務所社長とのお食事会とか、そういうのにはおすすめできるかもね。接客態度は写真にはうつらないからさ!


本日の評価 ☆☆


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